個人サイトは完全なオワコン。インターネット黎明期(本当はかなり前らしいけど、此処では一応、1990年代後半のことです)あちこちに現れた個人製作のホームページはすっかり消えていき、今は余り見掛けません。殆どのサイトは企業や法人のものになり、個人の方々はツィッターやフェイスブック、もう少しまとまった情報を発信している人達もほとんどがブログになり、此処からの接続は切れていきました。
 それでもこのように、私は未だにこれを続けている。何でなのかな。HTMLをしこしこ手で書き、FTPでアップロード、こんな作業は流行らないとは分かっています。確かに何かを言うだけなら、SNSやブログの方が簡単です。でも、何処か物足りないのです。だから、ブログも長続きしませんでした。性に合わないんですね。

 私はこのサイトを立ち上げた前、幾つかの方針を立てました。

  1.  自分が出版した本等に関するものを除き、広告は入れない。自由な表現を守る為。
  2.  ホームページビルダーの類は使わず、全てテキストエディターで入力する。余計なファイルサイズの肥大を避ける為。最初にマイクロソフトワードで書いた物をエディターで覗いてみたら、どうも訳の分からないコードが大量に入ってしまい、気持ちが悪かったのです。
  3.  そしてこれが一番この文の趣旨に関係すると思われるのですが、フリー素材の類を他の処から借りて来ない。出来る限り自分で絵を描き、写真を撮影した物に限る。
 最後の「フリー素材を借りない」は、年賀状なんかでも変わりません。長い間同人誌等で絵を描いていた意地もあって、全て自分でデザインします。好きなんです、そうするのが。もちろん他の人が既成の素材を使うのは何とも思いませんが、自分はあくまで手作りします。まあ、一つの生活様式ライフスタイルみたいなものですね。

 無論、こんなのは所詮、ただの自己満足です。例えば冷凍餃子を手抜きと考えて手で巻いたとて、材料を牧場や畑で育ててはいないでしょう。更には、それらを刻む刃物は? 焼く為のフライパンは? 要するに完全な手作りなど土台無理な仕業で、何処かで人の作った物に頼らねばならない。だから冷凍餃子でも美味しければ充分なんです。実際、最近の冷凍食品はとても良くなっているし。
 ホームページも同じこと。サーバー立てずレンタル、ドメインもソネットから賃貸です。人間は、高度な分業で支え合っていく生物ですから。
 ただ、手巻き餃子にもいいところはあります。味を自分好みに調整し易い点です。私は浅草与ろゐ屋の鶏肉餃子が好きなのですが、年中は行けませんから何とか再現しようと頑張ってます。出来ないけど。
 つまり、サイトもそういったものではないかと思うんです。私がブログが続かなかったのは、どうも自由なデザインとかがしにくいんですよね。配置等が決まっちゃっていて。どうしても画像をこう置いて、CGIやジャバスクリプトでプログラムを入れてとかやりたくなる。それが出来ないのはつまらないんです。
 つまり私にとって、サイトはあくまで「総合芸術(うぷぷっ)としての表現」であって、意見などをいう場ではないということです。意見なんかをいうなら、こういった検索しなくては引っ掛からないホームページ作るより、SNSの方がずっと簡単でしょう。

 ビルダーを使わない件についていえば、前述の妙な見えない記述を増やさないこと以外、「出来る限りは手で作る」という拘りがあるようです。最近はDTMにもコード進行を付けてくれたりするソフトがあるみたいですが、私はあくまで手でピアノを弾いて、五線譜で入力します。何故か。その方が楽しいから。何か「自分の物」のような気がするから。ミニマルミュージックって奴、現代のシーケンサーを使えば簡単に録音出来るんですが、マイク・オールドフィールドなんかは物凄い手間暇掛けて手で弾きますよね。私もデジタル版の「展覧会の絵」で「キエフの大きな門」を録音した時、流石にあれを全部手で弾くのは無理ですが、一部のオルガンなんかは自分で演奏しました。少なくとも、商業レベルで私の演奏が流れた唯一の物です。それで何が良くなる訳でもないとは承知の上で、そうしてきたのです。
 多分、これからもずっとそうなのでしょう。手で文章を書き、自分で撮った写真を載せ、配置を調整する。場合によっては、パールやジャバスクリプトで自動化された部分を入れながら……。最後にそれらをFTPでアップロードして確認する。その方が性格的に向いているんですね。
 ということで、アクセスカウンターもゼロにはならないようですし、恐らくこのサイトは当分……まだまだ続くと思います。生きている証だとか、そんな大袈裟なものじゃありません。インターネットに育てている箱庭、盆栽みたいなものです。だからもしも、何処かにこれを読んで下さっている方がいらっしゃいましたら……。
 どうかこれからも、よろしくお願いいたします。

アトリエ平田工房管理人

平田真夫(atelier@hirata-koubou.com


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