Hergest Ridge / Ommadawn 2010 mix

Mike Oldfield

Disk One (CD)

Hergest Ridge (part one)
Hergest Ridge (part two)
  2010 stereo mix
In Dulci Juburo (for Maureen)
Spanish Tune

Disk Two (CD)

Hergest Ridge (part one)
Hergest Ridge (part two)
  original 1974 stereo mix
Hergest Ridge (part one)
Hergest Ridge (part two)
  1974 demo recording

Disk Three (DVD)

Hergest Ridge (part one)
Hergest Ridge (part two)
  2010 5.1 sorround mix

Disk One (CD)

Ommadawn (part one)
Ommadawn (part two) / On Horseback
  2010 stereo mix
In Dulci Juburo
First Excursion
Argiers
Portsmouth

Disk Two (CD)

Ommadawn (part one)
Ommadawn (part two) / On Horseback
  original 1975 stereo mix
Ommadawn (lost version)
  1975 demo

Disk Three (DVD)

Ommadawn (part one)
Ommadawn (part two) / On Horseback
  2010 5.1 sorround mix
In Dulci Jubilo
portsmouth
  original promotional video


 とりあえずは、長らく幻になっていた「ハージェスト・リッジ」の1974年オリジナル版と「イン・ダルシ・ジュビロ」の初版がデジタル化されたことに素直に喜び、これも名のみ知られて内容が不明だった「スパニッシュ・チューン」が実は「ハージェスト・リッジ」のB面抄出だったことにがっかりというところか。
 「ハージェスト・リッジ」はCDになる際、どういう訳か「ボックスト」の版が収録されてしまい、日本版もそれに習ってしまった。したがって、手持ちのLPからデジタル起こしをして聴いていたのだが、これで初めて正規のCDが出たことになる。
 よく知られているように、「チューブラー・ベルズ」、「ハージェスト・リッジ」、「オマドーン」の三作は、「ボックスト」にリミックス版が三枚とも入れられた上、その後「呪文」までの沈黙期間が長かった(今にして思えば、それ程でもなかったか)ためか、「初期三部作」などと呼ばれている。勿論、オールドフィールド当人にはそんなつもりはあるまい。その後「チューブラー・ベルズ」のみが繰り返し作り直され、ライヴでは「オマドーン」は結構演奏されたが「ハージェスト・リッジ」はオーケストラ版以外聴いたことがない。製作当初は「前作(=チューブラー・ベルズ)を越えると思う」などと言っていたらしいが、結局気に入らなかったのだろうか。CD化についてもその扱いはぞんざいとしか思えず、真意を計りかねていたところだ。案外、今回のリリースでジャケットが変更になったことも、何か関係があるのかも知れない。

 さて、今回の注目は当然、どちらも5.1チャンネルリミックス版のDVDだろう。CDにも同じ物が収録されているが、もし機会があったら是非DVDサラウンドで聴かれることをお薦めする。特に「ハージェスト・リッジ」の最初の方で、第一主題をアコースティック・ギターが引き継ぐところ、微妙に前後でエコーが掛かり、不思議な感覚に捕われる。このヴァージョンは、オリジナルと「ボックスト」の双方の良いところを取り入れ、更に少々仕掛けがしてある。例えばパート1の5分40秒でアコースティック・ギターがコードを掻き鳴らしてすぐに戸惑ったようにフェードアウトするところ、或いは第二主題の部分、オーボエがすぐに参加せずギターの独奏で始まる点など、何か元の邦題についていた「夢と幻」を見る想いだ。B面の女性コーラスも、こちらはオリジナルよりしっかりと聞こえ、「ボックスト」の長所が生かされている。個人的には、この版が最高の出来ではないかと思う。
 難を言えば、どうもトランペットの息継ぎ個所が拙いように聞こえる部分、これはオリジナルからそうだったのかも知れないが、ミックスのし直しで目立つようになってしまったのかも知れない。録音技術の進歩は、当然演奏者の技術も生で出てしまう。勿論、シンセサイザーなどを使えば簡単に直せたのだろうが、そこはオールドフィールドの公平さなのだろう。自分で演奏した部分ではないのだから、そこを勝手に入れ替えるのはどうかと思ったのではないか。

 「オマドーン」の方は――。
 こちらは元々、「ボックスト」のリミックスでも音量の調整や、B面の男性コーラスなどを抜かしてほとんど手を入れられなかった。今回も三作の中ではもっとも変化していない。何となく音が明確になったような気がするのは思い違いだろうか。当然、ジャケットも同じである。
 で、こちらには「イン・ダルシ・ジュビロ」、「ファースト・エクスカージョン」、「アージャース」、「ポーツマス」の四つが収録されているが、新版などではない。そもそもこれらは「ボックスト」に収録されているのだから、4チャンネル・サラウンドが存在する筈である。本当は、是非そちらをDVDに入れて欲しかったところだ。これには少々がっかりした。
 更に、どちらも「チューブラー・ベルズ」の時と同じくデモ・ヴァージョンが収録されているが、個人的には資料的価値はあるものの、そもそも未完成な作品の放出である訳だから、おまけ以上の価値を余り認めていない。ただ、「オマドーン」については、初めからかなり完成されたデモだったのだなあ、とは思った。

 それにしても、「オマドーン」のDVDメニューに流れるギターソロのヴァージョンは、何処かにあるのだろうか。音の良さなど考えると、今回のDVDの為に演奏されたようにも思えるのだが、詳しくは定かでありません。あと、「呪文」以降はどうするんだろうなあ。全部をサラウンド・ミックス化は流石にないと思うんだけど、「エクスポウズド」だけはLPがSQマトリクス4チャンネルだっただけに、是非SACD化して欲しいものである。

宇宙暦42年10月1日


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