ダーツに関する覚書


 当たらないなあ、当たらない。的に当てるのは何とか出来ても、ダブルの位置や思った通りの点数を出そうとするには、かなり正確な命中率を持っていなくてはならないのに、これが全然当たらないのである。いったい、プロのダーターとか言う人たちは、どの程度の練習をしているのだろう。
 一応は競技用の正式なボードと矢を買ってみたが、少なくともチェスの駒よりは安かった。更に壁に取り付けるには重過ぎるし、ぼこぼこ穴を開けてしまいそうなので保護用の板も立て、2万円は切ったかな。コストパフォーマンスは結構良いのではないだろうか。更に、手軽にひょいひょい投げられるというのが自分には向いていると思う。チェスがフルートならダーツはピアノだろうか。ケースからいちいち出してつなぎその後に片づけが待っている楽器と、蓋を開けてちょっと弾いてすぐにやめてしまえる楽器との違いである。更に、チェスとフルートは一人ではやらないことが多い(チェスはコンピューターを相手にすれば、一人で出来ないことはない)が、ピアノもダーツも一人で出来るのも似ている。そもそも私がキーボード奏者になった理由には、手軽に演奏出来てさっさとやめられるというのもあったと思うのだ。ひどい話である。
 それでも、一日に何回か投げているうちに、たま〜に思った所にスパスパ入ることもあるようになってきた。これはもしかすると、そのうちどこかの競技会にでも出られるようになるのだろうか、というのはただの妄想だろう。ケーブルテレビでダーツの番組を見たが、さすがにプロは的確に命中させている。あんな小さなところによく当てるものだと思うが 、たとえアマチュアでも競技会に出るような人たちはあそこまでのことはなくても、私なんぞでは太刀打ち出来まい。遊園地のカーニバルみたいなところで、安物の商品を当てるのがせいぜいである。

 ダーツが危ないスポーツかどうかについては、要するにちゃんと気をつけなくては野球のバットだろうが自動車だろうが危ないに決まっているのだから、安全性に関する注意が必要であることくらいは誰にでもわかる。人に向けて投げたりするなどは論外だから、そんなことはわざわざ指摘するまでもない。ただ個人的に、あ、これはちょっと危ないかなあ、と思ったのは、実は的にちゃんと命中した矢でも、ときたま跳ね返って来ることだ。要するに、得点の表示を仕切っている金属の部分、あそこにまともに命中した矢は結構な勢いで跳ね返って来る。もちろん真っ直ぐにこちらに向かって来たことはまだないが、案外に遠くまで届くのだ。これは最初に経験した時はちょっとびっくりした。狭い室内にボードを設置した時は、そばに家族がいないか、壊れてまずいものがないかどうか、ちゃんと確認する必要がある。
 それ以外の点では、常識的な点に気をつければ多分大丈夫だと思う。そう、ダーツの危険は、これがそれほどたいした設備がなくても、日本の一般家庭で簡単に出来てしまう点にあるのだ。それがわかっていることが、まず大切である。

 さて、どのくらい研鑽すればそこそこの命中率を手に入れられるのだろう。まあ、シャカリキに努力するつもりは全然ない。ずいぶんいい加減なものだと思うが、そこそこ楽しめればそれでいいのであるからこれで構わない。少なくとも、一回道具を揃えれば後は元手もかからないし、自分には結構こういうのが向いているのだと思う。

宇宙暦35年2月26日)


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