妻の守り刀・短刀「宗光」

真剣

 最初に守り刀として買った宗光砥ぎに失敗してしまったので、刀身を片山一文字則房に替えました。それで元の痩せ細った宗光は、教訓として額にでも入れて飾っておこうと思ったのですが、この位の太さの短刀は他に無いではなし、拵えを造り直せば、むしろ女性用に華奢な出来になるのではと考え、妻の守り刀にしてみたのがこれです(ちなみに刀身の仕様はこちら)。
 ご覧のようにも全体的に白を基調とし、朱色と金をあしらってあります。鞘の上部にある螺鈿は「宇宙大作戦」に出て来る連邦の徽章で、これは妻がトレッキーである為。花は色カシューで適当に書いてしまい、銀蒔絵(アルミニウムですが)を使いました。その上に蒔いた金箔は、名古屋の加藤珈琲店で注文したゼリーについていた物です。ゼリーに金箔入れて食べたって味は無いし、勿体無いと思いまして――。右写真の上の方にある点々がそれです。
 ちょっと苦労したのは、白のカシューが扱いにくく、厚塗りすると段々皺が寄って来るんですよね。これ、化学漆全般に言えることで、本漆は乾きが非常に悪く、その間に自分で広がって傷を埋める性質があると中学校の技術家庭で習ったのですが、カシューではそうもいきません。薄めに少しずつ重ねていかないと、表面から硬くなってしまいます。それで内側が乾くときに皺が出てしまい、何度やすりを掛け直したことか。
 あと、鍔は適当なのが見付からず、銀粘土と銅板による自作です。写真をお見せ出来るような物ではありません。小柄櫃には女性用にこうがいを入れてあります。
 ただ、今にして思うのは、もう少し鞘を細身にしても良かったかな、ということです。そうすれば、もう少し女性向けになったかなあ、と。この鞘、安物の模造短刀から取った物で、元が白鞘だったのを削って仕上げました。刀身に反りがほとんど無いので、真っ直ぐなのはいいんですが……。

宇宙暦44年7月20日



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